むぎこがし

☆の家のおばあさんとは父の母の妹に当たるらしい

あるとき☆はおばあさんに呼ばれた

麦こがしをごちそうになった

さらさらとした粉をコップに入れてお湯をそそぐ

「むぎこがし」とおそわっていただく

甘い

☆はすっかり気に入った

☆はうれしくて母に報告

「おばあさんに麦こがしという甘い飲み物のをいただいた」

母 「練ってた?」

☆ 「さらさらの粉にお湯を入れた」

母のつぶやきによると

麦こがしの入った香り付き砂糖湯らしい

姉にはむぎこがしを上げてるのにと小声

母はお見通しだった 少し悲しそうだった

姉が貰える「むぎこがし」はどんなものだろう

でも、むぎこがしは甘くておいしかった 問題ない

☆は見えないから意地悪されても相手が意地悪に努力するほどダメージはないのだ

浜名湖は海だ

小学5年の夏休みは母方の祖父の家

静岡県小松市で過ごした

今の浜松市の一角

 

5歳下の弟と母に連れられて特急ツバメに乗る

ツバメ と言う響きに心が躍った

が・・・ただの汽車

大人に言わせると電車だそうだ

 

何のことはない夏休み中預けられた

~~~邪魔者だった?~~~よねぇ きっと

大人の事情は知らないけど

 

その間のことは後にして

休みが終わるころに父が迎えに来た

 

父と弟と3人記念に浜名湖に遊びに行った

湖というから大きな池なはず

盛岡には高松の池と言うのがあり

昔はカッコーがなく神秘的なところだった

 

そのイメージは全くない

何で砂浜があって波が来るの?

これは海だ!

浜名湖はミズウミという名前の海である

砂が白い砂浜の海だ

 

☆;砂が白い 赤くないよ

父;ああ 小名浜はいい砂浜だ 

  あの色の砂浜は珍しくて 白いほうが多い

☆;こっちのほうがまぶしい

父;白いほうが光を反射するから

☆;ふ~ん

 

小高い丘のような砂山に移動した

周りが浅い海に囲まれて島に来たような気分でなんだか嬉しい

 

いなり&海苔巻のお弁当をひろげ 

おしゃべりに夢中になりながら座る場所を作る

 

ザーッ

 

いきなり波が寄せてきた

父の一声で3人はより高いところに急ぐ

波はお弁当の手前で帰っていき

少ししぶきを浴びただけで3人をほっとさせた

すぐ片付け周りを見ると、海の孤島 だ

 

父が 「速いなぁ」 と感心している

とにかくここに居ては帰れなくなるから戻ろう

 

海はあっという間に広くなっていく

本当に速い 

私でもわかる速さで足元がなくなっていく

陸地だった道はどこにあるのかわからない

父は弟を肩車し前を行く

私はスカートを腰まで上げて

荷物をかつぎ手には自分のお弁当を持って後を追った。

砂浜は足元が平らで転ぶ心配がない

 

ももまでつかってどうにか溺れる前に対岸についた

ここなら安全 とお弁当の食べなおし

ところが波しぶきをかぶったお弁当は少々砂が混じっている

弟は食べられないと言う

 

父;☆はお弁当持って逃げたんだ さすがだな

私に弟のお弁当と交換するように言った

 

ちょっとじゃりじゃりの楽しい昼食だった

食べ終わったころには さっきまでいたところは

一人が立つくらいの小さな島になっていた

海に浮かぶお皿みたいで面白い

そのうちにどんどん小さくなって消えた

今いたところがなくなるなんて

サイコウニ オモシロイ

 

なぜか 後々まで

「お弁当を持って逃げた」

と語られることになった

 

よくやった、と誉めているわけではないようである

 

弟は覚えているだろうか

もし弟も 「食い意地の張ったお姉さん」

なんて記憶持ってたら お弁当返せ

 

でもサ いまさら

おいなりさん&海苔巻き弁当(500円以下)返されて

「やっぱり食い意地張ってる」 なんて言われちゃ・・・

せめて岩手のうにどんぶり

 (たかがどんぶり されどどんぶり 3000円以上する)

・・・そういう話じゃない♪

幼稚園 8 神様のタマゴ

二度と幼稚園には行かないと誓ったくらい嫌いな幼稚園にも
そうそう悪くない思い出もある
キンダーブックが届き、ボロボロになるまで見た
 
自転車にはねられて休んでいたある日 
父;、幼稚園に行かないか
;幼稚園は行かない
父;タマゴがもらえるよ
;タマゴならウチにたくさんある
父;ウチの卵は白いけど 色のついたタマゴがもらえるよ
;どんな色
父;赤や青や桃色
 
の頭は色とりどりの卵でいっぱいになる
 
しかし、それが日曜だと知って 
;教会は行かない
父;教会は行かなくていい、

タマゴを貰ったら帰ってくればいい

;じゃあ、行く
 
はさかなだ タマゴに釣られるあわれなさかな
 
いざ行った幼稚園
登校拒否生徒には 先生はやさしいと相場が決まっている
誰と話した記憶もなく 何をしたかも覚えていない
青いタマゴをもらって帰った
 
青いタマゴはゆで卵だそうだ
手の中で転がしては色を楽しむ
 
しばらく眺めては 手に中で転がす
 
痛むから食べなさいといわれたって 
なかなか決心がつかない
 
青いタマゴは 何度見ても変わることはない
見あきるほど眺めて やっと食べる決心がついた
 
・・・・・・・・
普通のタマゴだ
 
やっぱり神様はうそつきだ
・・・・・・・・・
 
中まで真っ青だったら きもちわるいだろ・・


それは大人の 常識

犬は遊びでニワトリを襲う

猫は食べるためにニワトリを取る。
犬は遊ぶためにニワトリを殺す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ◇ 秋田犬

近くの家で秋田犬を飼っていた。
この犬は大の苦手である
何がって、放し飼いなのだ

 

運動のために庭の柵内で鶏を放した。
姉と一緒にニワトリ番をする
白いの黒いの茶色いの。みんな頭の上の赤が印象的だ。
姉はお気に入りのニワトリを指差してどこがステキか話した。
☆は色が決めて
茶色はあんまり可愛く見えないし、
白いのはどれも同じに見える
姉はちょっと小ぶりの茶色がいいらしい

 

ある日近所の放し飼いの秋田犬が襲ってきた。
犬は動くものすべてを襲うというは 本当だ。

追いかけては殺し、
殺しては追いかける。

目の前で繰り広げられた惨劇は、
はっきり見えていない☆の目にも
犬の恐ろしさを焼き付けた。
私、☆はただ呆然と立ち尽くす
動けない
羽で真っ白に染まる庭、真っ赤な血、
そこら中にころがるニワトリの死骸。
最初の悲鳴で大人たちが家の中から飛び出してきたころには
すでに十数羽が殺されていた。

あっという間 5分もたたないあいだの出来事だ。
それ以来 秋田犬が大嫌いになった。

いや、犬が好きになれなくなった。
少し違う
☆の犬好きは自分の家の飼い犬に限定された


冷蔵庫のない時代、殺された鶏は食べた
・・・に 違いない
産まれる前のたまごを大量の「茶色の山」から掘り出して
「ほかのものも食べなさい)と叱られた。

それからしばらくして我が家から鶏は消えた。

 

ニワトリは食料である

ニワトリとは食料である
増やすために生を受けた「かわいいヒヨコ」は
子供等の手で可愛がられ 守られ 暖められて
ニワトリの姿に近づくころ食料の集団に戻っていく
ヒヨコとニワトリは完璧に別物だった

☆は集団の中の一羽を見分けることができない
すべてのニワトリは餌に集い 泥棒を嫌う
・・・・・・・・・・

   ◇ 風呂敷

ニワトリは昼間庭に放され草をついばむ
毎朝のタマゴ泥棒と夜に現れるネコ以外の敵はない
と、おもうのは あさはか というものだ

たまに鶏を風呂敷に包み肉屋さんに持っていった。
きっちり縛られた風呂敷の中で
声も立てずもそもそしている暖かいニワトリ
私が持つと逃げ出すからと 母が持っていく。
肉屋さんは風呂敷のまま受け取って ○時に来て下さい、という。
その時間には私一人で行くこともある。
風呂敷の中身は、もう逃げる心配がない

この流れに疑問をもったりかわいそうだと思ったことがない。
鶏は食料だから
それどころか その晩は 生まれる前の
殻のない、黄身だけのタマゴがたくさん食べられる
内臓は大の苦手だけど 茶色の山の中にひときわ目立つ
「美しい君(黄身)は たまらなく魅力的だよ。」

以前可愛がったヒヨコかもしれない なんて
コレッポッチ? どれっぽっち つまり全く
考えもしない

 

ニワトリを狩る猫

☆はネコを見たことがない
鳴き声だけがネコの姿だ
・・・・・・・・・・・
◇ ネコ

我が家の鶏が特別美味しい というわけでもないだろうに

ネコは時々明け方やってきては、鶏を狙った。
どんなに小屋をしっかり作っても取っていく。

家には犬(スピッツ)がいた。
しかし犬はつながれているので、ネコを追い払えない。
番犬とはいえ,ほえるだけだった。
第一、犬が気がつくのが咥えて逃げるときなのだから、
それから飛び出しても間に合うわけがない。

ネコは扉から入るとは限らない
むしろ扉以外のところを探すようだ
人は猫の入り口を必死で探す

何時かも 探した
今日も 探す
この次も 探すだろう

ネコは天才だ 力持ちだし 根性もある
大きな荷物(ニワトリ)を咥えて追いかけられても離さない
と 大人たちは話す

ネコは悪者だ と教えられるまま信じた

 

ニワトリ

 私の子供時代は家に鶏がいた。

県庁所在地のど真ん中なのに、たくさん飼っていた。
父が結核で栄養豊富なタマゴを毎日食べるためである。
 


鶏は苦手だ
せっかくミミズを取って食べさせようとすると
われ先にと集団で飛びついてくる
たまらず投げ出すと 大群でミミズのほうに行ってしまう
こわい上に薄情だ いいのは姿だけじゃないか
 

・・・・・・・・・・・・・

     オトリ

私はタマゴを取り行くたびに、ニワトリに襲われた。
小屋に入るときにはサっと入らなければいけない
5才くらいからやらされていた と記憶している、
 
入り方が下手だ、と何度も叱られた。
気をつけて入ったら、タマゴを探す。
どのメスも私を見ると威嚇する。
顔を向けるだけで羽を広げて、こっちへくるなという。
それでも手ぶらで帰ると叱られるから がんばる。
何とか(こわごわ)ニワトリに近づくと 今度は攻撃されて
小屋の隅に追い詰められてしまう。
必死にこらえるがたいてい身動きできない
 
そのころを見計らって 今日もか・・・と
誰か(たいてい姉)がタマゴを取りに来るのだった。
 
そう。助けにきてくれるわけではないのだ。
 
「もたもたしてるからニワトリにまで馬鹿にされる」
ニワトリが私を取り巻いているすきに
無防備なたまごをさっさと持っていく。
 
 今日も手ぶらのタマゴ鳥(取り)
 
鶏は昼間行くと「どうぞどうぞ」と立ち上がって巣を見せてくれる
今置いてきた餌のほうが気になるようだ

の辞書
 「おとり」 鶏小屋の