浜名湖は海だ

小学5年の夏休みは母方の祖父の家

静岡県小松市で過ごした

今の浜松市の一角

 

5歳下の弟と母に連れられて特急ツバメに乗る

ツバメ と言う響きに心が躍った

が・・・ただの汽車

大人に言わせると電車だそうだ

 

何のことはない夏休み中預けられた

~~~邪魔者だった?~~~よねぇ きっと

大人の事情は知らないけど

 

その間のことは後にして

休みが終わるころに父が迎えに来た

 

父と弟と3人記念に浜名湖に遊びに行った

湖というから大きな池なはず

盛岡には高松の池と言うのがあり

昔はカッコーがなく神秘的なところだった

 

そのイメージは全くない

何で砂浜があって波が来るの?

これは海だ!

浜名湖はミズウミという名前の海である

砂が白い砂浜の海だ

 

☆;砂が白い 赤くないよ

父;ああ 小名浜はいい砂浜だ 

  あの色の砂浜は珍しくて 白いほうが多い

☆;こっちのほうがまぶしい

父;白いほうが光を反射するから

☆;ふ~ん

 

小高い丘のような砂山に移動した

周りが浅い海に囲まれて島に来たような気分でなんだか嬉しい

 

いなり&海苔巻のお弁当をひろげ 

おしゃべりに夢中になりながら座る場所を作る

 

ザーッ

 

いきなり波が寄せてきた

父の一声で3人はより高いところに急ぐ

波はお弁当の手前で帰っていき

少ししぶきを浴びただけで3人をほっとさせた

すぐ片付け周りを見ると、海の孤島 だ

 

父が 「速いなぁ」 と感心している

とにかくここに居ては帰れなくなるから戻ろう

 

海はあっという間に広くなっていく

本当に速い 

私でもわかる速さで足元がなくなっていく

陸地だった道はどこにあるのかわからない

父は弟を肩車し前を行く

私はスカートを腰まで上げて

荷物をかつぎ手には自分のお弁当を持って後を追った。

砂浜は足元が平らで転ぶ心配がない

 

ももまでつかってどうにか溺れる前に対岸についた

ここなら安全 とお弁当の食べなおし

ところが波しぶきをかぶったお弁当は少々砂が混じっている

弟は食べられないと言う

 

父;☆はお弁当持って逃げたんだ さすがだな

私に弟のお弁当と交換するように言った

 

ちょっとじゃりじゃりの楽しい昼食だった

食べ終わったころには さっきまでいたところは

一人が立つくらいの小さな島になっていた

海に浮かぶお皿みたいで面白い

そのうちにどんどん小さくなって消えた

今いたところがなくなるなんて

サイコウニ オモシロイ

 

なぜか 後々まで

「お弁当を持って逃げた」

と語られることになった

 

よくやった、と誉めているわけではないようである

 

弟は覚えているだろうか

もし弟も 「食い意地の張ったお姉さん」

なんて記憶持ってたら お弁当返せ

 

でもサ いまさら

おいなりさん&海苔巻き弁当(500円以下)返されて

「やっぱり食い意地張ってる」 なんて言われちゃ・・・

せめて岩手のうにどんぶり

 (たかがどんぶり されどどんぶり 3000円以上する)

・・・そういう話じゃない♪

藍色の海 浄土ヶ浜

初めて海につれてってもらったのは小学校入学前の夏 

場所は岩手県宮古市の浄土ヶ浜

家族全員と父の友人の数家族

家族遠足を一緒にする、という企画らしく子供らは家族単位で行動した

 

盛岡駅は家から徒歩で子供の足でも20分くらい

山田線に乗り延々山の中を進む

トンネルの数も数え切れない

  そう、数えていたら何もできない

前のほうから「トンネル」と言う声が聞こえると一斉に窓を閉める 

トンネルを出て窓を開けると またすぐ閉める

それだけでも十分楽しい

 

いきなり後ろに走るのもすごく楽しい→スイッチバック

 

海そのものも初めて

白い石で囲まれた大きな水溜り

緑っぽい水が静かに寄せる

それが海だと思った。

 

浄土ヶ浜は内海と外海が岩ひとつでまるで違う

内海は子供をあそばせるにはとても安心できる場所で

姉一人の子守りでカニを追いかけて遊んだ。

ちっこいのに、はさまれるととても痛い。

姉は上手に捕まえるのに私は上手くいかない

 

ほかの人はどこへ行ったんだろう

などと考えはしない

姉のいる場所が私の場所

 

カニに飽きたころお呼ばれた

大人のいるところに行くらしい

 

まぶしいほど白い岩から外海に出るには

ものすごい大きなゴロゴロの石を超えなければならない

こういう石を岩という、と教わった

手を貸す大人のクロウなど知る必要もない

板のような石にへばりついて上る

 

その石を超えたところは別世界

なのだが まだ気が付かない

 

父に教えられたほうを見ると離れたところに母が立っていた。

ごつごつした大きな岩の上に青い空をバックにたっている

風邪にスカートの裾と髪の毛がゆれていた

 

そのまま額に入れたい景色に感動して突っ立った。

 

空が果てしない

視野いっぱいに空と岩

その真中で 適度な風に吹かれて優しくゆれる母

 

当然

私もあそこに立ちたい

 

危ないからと近づくことも許されない。

 

あまりうるさいのか もうひとつ高いところまで

上げてくれた。

 

言葉がない

あまりの感動に動くこともできない

 

海 これが 海

 

外海の広さに圧倒された

空とつながるまでずーっと海だ

紺色と言うか藍色に近い波がうねり 

岩にあったって砕ける真っ白なしぶき

 

これは きれい では足りない

美しい 

 

海の色は 藍色か紺色で 

波は白く砕けてレースのようにひろがる

空は海より淡くみずいろ

 

最高に美しい海だった