藍色の海 浄土ヶ浜

藍色の海 浄土ヶ浜

 

初めて海につれてってもらったのは小学校入学前の夏
場所は岩手県宮古市の浄土ヶ浜
家族全員と父の友人の数家族
家族遠足を一緒にする、という企画らしく子供らは家族単位で行動した

盛岡駅は家から徒歩で子供の足でも20分くらい
山田線に乗り延々山の中を進む
トンネルの数も数え切れない
そう、数えていたら何もできない
前のほうから「トンネル」と言う声が聞こえると一斉に窓を閉める
トンネルを出て窓を開けると またすぐ閉める
それだけでも十分楽しい

いきなり後ろに走るのもすごく楽しい→スイッチバック

海そのものも初めて
白い石で囲まれた大きな水溜り
緑っぽい水が静かに寄せる
それが海だと思った。

 

浄土ヶ浜は内海と外海が岩ひとつでまるで違う
内海は子供をあそばせるにはとても安心できる場所で
姉一人の子守りでカニを追いかけて遊んだ。
ちっこいのに、はさまれるととても痛い。
姉は上手に捕まえるのに私は上手くいかない

すっかりカニが怖くなってしまった

ほかの人はどこへ行ったんだろう
などと考えはしない
姉のいる場所が私の場所

カニに飽きたころ呼ばれた
大人のいるところに行くらしい

まぶしいほど白い岩から外海に出るには
ものすごい大きなゴロゴロの石を超えなければならない
こういう石を岩という、と教わった
手を貸す大人のクロウなど知る必要もない
板のような石にへばりついて上る

その石を超えたところは別世界
なのだが まだ気が付かない

父に「ほらお母さんだ」と教えられたほうを見ると離れたところに母が立っていた。
ごつごつした大きな岩の上に青い空をバックにたっている
風邪にスカートの裾と髪の毛がゆれていた

そのまま額に入れたい景色に感動して突っ立った。

空が果てしない
視野いっぱいに空と岩
その真中で 適度な風に吹かれて優しくゆれる母

当然
私もあそこに立ちたい

危ないからと近づくことも許されない。

あまりうるさいのか もうひとつ高いところまで
上げてくれた。

言葉がない
あまりの感動に動くこともできない

 これが 

外海の広さに圧倒された
空とつながるまでずーっと海だ
紺色と言うか藍色に近い波がうねり
岩にあったって砕ける真っ白なしぶき

これは きれい では足りない
美しい

海の色は 藍色か紺色で
波は白く砕けてレースのようにひろがる
空は海より淡くみずいろ

最高に美しい海だった

 

 

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