雪合戦と火お越し

☆の家の裏には広い田んぼがあった

こんな所になぜ田んぼ、と言う程市内のど真ん中,住宅一等地だ

 

戦後のベビーブームで子供があふれ、収容しきれなくなった生徒を分散するために新しい小学校ができ学区が分かれた境目に田んぼがあった。

つまり田んぼの向こう、我が家の裏は学校が違う

高学年は昨日まで同じ学校の生徒だったから顔見知りである

 

冬が来て田んぼは真っ白に染まり子供の遊び場になると休日は雪合戦が行われる

 

近所の小学生全員かと思うほど集まってそれはもう盛大な雪合戦だ

 

広い田んぼに雪はいくらでもあり

どこにも誰にも迷惑がかからない

 

☆は楽しくてしょうがない

 

敵味方は学校で分かれる

実にシンプルで昨日の友は今日の敵なのである

高学年が前に出てずらーっと並んでバリケードを張りながら攻撃する

低学年は後ろの安全地帯でせっせと雪玉作りに精を出す

向こうの学校の生徒が隙間を狙って無防備に雪玉作りに夢中な☆たちを狙って雪玉を飛ばす

堅くて痛い

☆は負けじと堅い雪玉を作るのに専念する

☆は凝り性だ

どうすれば堅くなるか、

どうすればまん丸になるか

どうすればお兄さんたちが喜ぶか

 

もしかしたら 同じ低学年も雪合戦に参加していたのかも知れない

☆は周りが見えないから雪玉作りを命ぜられ黙々と雪玉を作り決められた場所におく

☆の作った雪玉はすぐに使ってくれるから☆はせっせと よそ見もせずに 雪玉を作る

 

言われたことをタダひたすら繰り返す

その姿は「知能指数の低い子供」の行動であり 他者に「バカ」と言う認定をされてゆく。

☆の知ったことではない

☆は清らかにバカなのだ

盲のバカには上級生はとても優しいのだ

 

☆は雪玉を作るのがうまくなった

研究にいそしみ遅いからあまり役には立たなかったと思うが・・・

 

時間が来るとさっと終わる

勝ち負けはない、たぶん

 

当時のこたつには棚つきで 洗濯物が干せるようになっていた

雪で固まったマフラーを取ってこたつの中に入れる

 

 

☆!!

???

雪を取ってからこたつに入れなさい

火が消えてしまう

こたつの布団を上げるとほわほわと湯気が出ている

 

うん、すてきだ

 

雪は溶けると水になる

水は上空にとどまっていない

☆は少し勉強した

だって・・マフラーに凍り付いた雪なんて☆にはとれない

仕方がないじゃないか

☆は密かに反省しない

 

 

☆は火お越しを教わった

コレがまた楽しいのだ

筒を持ってフーフー

吹くたびに炭が赤く光る

ちっとも制裁になってない

 

大人はいいように☆を使い

☆は楽しく懲りまくって大人の意図などつゆほども知らない

 

☆は体験学習が大好きで平和である

福島県泉村 昔話の景色

福島県泉村 昔話の景色

 

福島県泉村へは常磐線でいく
東北線の仙台から海のほうにぐ~~っと折れていく
鎌倉生まれの母から見ればド田舎のようだ

そこに父の実家がある

 

小学校1年の夏休みは父の実家で過ごした

〈父は、父の母方の跡取りである〉

父方の総会のような行事が祖父の家で行われた

親兄弟の親睦会なのだろう
地理的都合&交通事情などもあっで

到着して用事がすんだらすぐ帰ると言うわけに行かない一週間くらい父の兄弟およびその家族数十人が滞在した

 

初体験満載の夏休み

☆の子守約の姉は泉駅から家までの道を
「正規の通路」「近道」「景色のいい遠回り」
と幾通りか教えてくれた
ある限りの道をしっかり教えておけばほおっておける
「突き当たったらどっちへ曲がる」
とか、何本目・橋のところから のように教わる
駅から左に離れなければ家は見つかる
基本的に私は上を見ない

ひたすら足下を見て歩く 

視力があろうがなかろうがそれで家に帰れる

迷子になったらその辺の家で聞いて駅に行けばよい

泉駅までの道を覚えると出歩くようになった。
姉の信頼が強いのと田舎では迷子の心配もないのだろう
ほっとかれたのがには幸いした。

家を出たらいったん駅まで行く
最初からあっちこっち歩いたら帰れなくなる
駅を出てまっすぐ進むと右手に中学校がある
泉中学校 父たちの母校らしい
そこを右に曲がって進むと川があった。
川の向こうには緑が広がっている

じっと見ていると緑は山のようだ

姉と一緒の時に「あそこにに釣をしている人がいる」

と教わった

人がいると教えられて人を探す。
流れの真中にも人らしいものがいるのをみつける


どうやってたっているのだろう
水の上にたっているようにしか見えない 

釣りを知らないからじっと動かないのが不思議でならない
待てど暮らせど動く様子がない
釣り竿が見えないから ただただ居る〈ある〉だけだ

 

「朝早く川に行くとすごくきれいだよ」
見つかると叱られるから そっと抜け出すんだよ
教えてくれたのは当然姉だ
食事の時間には戻ってないと叱られるよ
と注意事項もくっつく

さっそく次の日実行だ
祖父はとてつもなく早起きで抜け出すころには起きていた
見つからないようにそっと出て川へ向かう

川は静かだった
駅から川に来たときの位置から左はじきに曲がって何もない
橋がひとつあったけど 限定で通行止めなので景色の一部
右は明るく川はくねくねどこまでも続いている
早朝だからかもやに包まれてすべてがボーっとかすむ
ぼやけた灰色の世界
暗いわけではない 
足元がぼやけるほどではなく
川から向こう岸がもやに包まれている
山はかすんで輪郭がぼやけ空との境がはっきりしない
釣り人は動かずすべてが絵だった
大きな絵本の中に自分を置いて山の空気を吸う

何を思うでもなく ただぼやけた世界を眺めるだけ
それがすばらしくいい時間だ

飽きてくると家に帰る
そのころになると大人は朝食の支度で忙しく働いていた。
小さくなって家に入り、今起きた顔で挨拶する
・・そうか!このころからこんなこと覚えてたんだ・・
すっかり早朝の散歩がが気に入って滞在中の日課になった

今でも昔話の山村の絵はこの景色が土台になる
やっぱり本物は焼きつき方が違う 
動かない景色でも生きている、と感じるから

体育の水泳は川で

小学校にプールはない

何処の小学校にもプールはない

夏の水泳教室は二時間続きで川へ行く

 

雫石川は北上川に合流するまで水が飲めるほどきれいな川だった、むかし。

学校から歩いて10分の所に雫石川の終点がある

雫石川・北上川・中津川が合流し北上川となって宮城県の海までながれていく

雫石川の終点は採石場になるまで川底は滑らかな小石でなだらかだった

学区内で学校からも近く景色も良く プールよりずっと気持ちよかった

 

水泳の準備は教室で荷物の確認

身体を拭くタオルと換えのパンツ

 

ズボンじゃないよ

下着のパンツ 女児はズロースというか、快適工房のゆったりでしっかり木綿のババパンツ

ショーツ成る横文字品が存在しなかった時代だからね、

下着のパンツとズボンのパンツではアクセントが違うとか?発音したのを聞いたことないから文字上一緒で不便きわまりない、

日本語がいい

パンツ 日本語知らない 昔はなかったからね 

 

タオルも良くてバスタオル、なければ普通のタオルでOK

 

話を戻そう

 

パンツとタオルと浮き輪を手提げに入れて一クラス50人、学年ごとだったりするから250人 テクテク10分で川に着く。

服を脱いで朝からはいているパンツ姿で注意事項を(たぶん)たくさん聞く

準備体操をしてやっと川で遊ぶ。

先生の合図で川から出て服を着て学校へ帰る。

???ええと

パンツはいつ履き替えたんだろう

とんと記憶がない

ただの河原で250人も着替えるんだからね

壮観?

上級生はどうしたんだろうね

 

 

二年生になって

採石場になって危険だから遊泳禁止。

だから、勝手に行って川で泳がないように、と釘を刺された。

小学校にプールができて川の水泳は一年だけだった。

 

友達と=堂々=川で水遊びをした。

父に歌を教わる

父が東京で教師をしているときに合唱コンクールの指導もしたそうだ

戦後なので専任教師がいなかっただろうが

クリスチャンの家庭に育った父はオルガンで賛美歌を弾けるのだ

母もバイエルは卒業してるんだよね

教師ってマルチだね

ただ、残念なことに家にはオルガンがなかった

 

☆は歌うのが好きだ

聞き覚えの歌をピーチクパーチクやってるのを見て父は歌を教えてくれた

 

故郷

 

うさぎ追いし かの山

 

歌い出しが うさぎ である

父は丁寧に教えてくれた

3番まで全部覚えても うさぎ が出てくるのは最初だけ

それでも良く歌った

 

故郷は父の故郷を歌ったみたいな歌だ

うさぎ から始まるから喜んで歌うだろうと選ばれたのかも知れない

 

 

ウサギは追われ狩られるる身

当たり前の 食料 である

 

ちなみに おいしいらしい

 

 

 

待ちぼうけ

 

父は歌を教える前にお話をしてくれた

うさぎが木の根にぶつかって死ぬところなど身振りを添えて。

☆は単純大喜びで聞き入る

 

そして歌を教える

快活なリズムに乗って物語が紡がれていく

間奏も歌の一部、と言うより間奏がとくに好きだった

 

働き者の農夫が 勝手に飛び込んで切り株に当たって勝手に死んで棚ぼたのウサギを食べてよほどうれしかったのだろう

待てばウサギが食べてもらいにやってくる、と 怠けて落ちぶれる歌。

 

ウサギは来るかも知れないけれど畑を耕してはくれないよね

 

☆が学ぶべきことは

前も見ずに勢いよく突っ込んで自滅するウサギのほう

前を向いて よく見て 歩きましょう

そうすれば 農夫は怠け者にならなかった

 

悪いのは勝手に餌になった うさぎ である

 

父は何を教えるか!

☆はなんの怪訝もなく覚える

 

 

 

兎のダンス

 

ソソラ ソラソラ うさぎのダンス

タラッタ ラッタラッタ ・・・・

調子良いんだよなぁ

脚でけりけり ピョコピョコ 踊る

耳にはちまき ラッタラッタ・・

 

耳にリボンなら可愛いけどはちまき

踊りと言ったら盆踊りなんだ 時代を感じる

なんて思うのは大人になってから

 

 

あわて床屋

 

時間がない、と焦る兎が カニのとこやに耳を切られる話

絵本では兎の片耳はなくなっている

残酷物語だ

 

☆は学ぶ

落ちつかない兎が悪い

カニは被害者だ

 

目が悪い☆は車にひかれても文句は言えないのである

 

父はスキップも教えてくれた

 

タラッタ ラッタラッタ

ピョコピョコおどる

兎が跳んででて

ころり転げた木の根っこ

チョッキン チョッキン チョッキンな

 

☆は近所中スキップでサイレンのごとく歌いながら踊り回る

 

 

どこかのおばさんが

歌上手だね、と褒めてくれた

☆はますます元気

 

 

父はたくさんの童謡唱歌を教えてくれた

意図するところは☆の知ったことではない

毎日近所中に美声を聞かせた

 

 

 

父 従順な聖女を育てよう いなばのしろうさぎ

いなばのしろうさぎ

 

物語が教えたいことは何?

 

絵本を開くと川の前に白いウサギが立っていた

この絵本には神様の話は書かれていない

向こう岸に行きたいウサギがワニをだまして橋を作り渡っていくが あと少しというところで得意になってだましたことを言ってしまう

そして怒ったワニに全身の毛をむしられる=皮を剥かれる=

通りがかった神様に海につかり乾かすように言われて=傷口塩=ひどくなる

素声大黒様が現れて真水で洗いがまの葉の上で休むように教わり回復する

 

 

初めて読んでもらったときとっさに言ってしまった

 

渡ってから言えばいいのに

 

☆は5才くらい

 

父は☆の意見に答えただろうか

記憶がない

 

神様を信じる心なぞ育つわけもない

 

大人になってテレビで知った

ワニって陸を走るの速い

 

物語のワニは実はサメだった

渡る前に食べられるだろうに

 

☆は清く正しくとは育ちそうもない

父 従順な聖女を育てよう かちかち山

父は☆が食いつくウサギを餌に本を読む

 

 

かちかち山

 

 

かちかち山は父と掛け合いで楽しんだ

全部暗記でラジオ劇場である

 

悪いことをしたら徹底的に罰を受ける

ウサギは死刑執行役 灰色っぽいピンクのウサギだったと思う

罪人には何をしても良く 残酷であればなお良く

執行役は賞賛されるのである

実はウサギにあまり記憶がない

なぜなら☆はタヌキ役だった

 

ボウボウ

アッチッチッチ

イタイ イタイ

アップップ

ごめんなさい

死ぬ

 

最後はウサギが腰に手を当て偉そうに笑っておじいさんに報告に行く

めでたしめでたし

 

父は笑い☆は死ぬ

 

 

父 従順な聖女を育てよう ウサギとカメ

幼稚園に入る前から父はよく本を読んでくれた

国語教師である父の音読は絶品である

 

 

ウサギとカメ

 

絵本に見開きいっぱいに 真っ白くて大きな赤い目のウサギが描かれ 草の中に小さくもないカメがいた

 

うさぎは足が速いのが自慢だった

 

得意な力は見せびらかしたくなるのは当然である

足がとびきり速くないと命を刈られるなどとは絵本には載っていないが本来たいへん重要なことだ

 

にも関わらず

おごったウサギは努力のカメに負ける

努力は天才より尊い などと教え込む

なわけあるか、と知るのは何十年も後になるのだが、

 

☆はすなおに努力すれば何事もなせる、と刷り込まれる

星はうさぎなのにカメになれと言われる

☆はうさぎどしだから・・と良いようなことを言って持ち上げてカメの方が優秀だと諭す

 

いまなら 父親のすることか、といえるのだが・・・

 

父は正しいのだ

イヤミなど☆の理解外である

父の教えは

カメ=他人=はすばらしい努力家でウサギ=☆=は愚かな天狗である

☆は素直な生徒であった

どうしようもなく悲しくなる

 

兄弟はその決まりの外にいて 家の中では勝つために精を出した

父は優秀である

兄弟で発散できるように あるいは 自分の目の届くところでガス抜きするように環境を整えた

 

絵本では狐が公平な者として 審判をする

☆は狐をすばらしい動物だと思い込む

公平を装うキツネはしたたかである

父はキツネが好きなのであろうか

☆の視点で父の話をしよう  6

岩手盲学校は家から徒歩15分から20分の徒歩通学の距離にある。

 

父は☆を盲学校に入れるのに猛反対した。

理由は 簡単明瞭 かっこわるい だ

 

 

母は悩んで数回盲学校見学にいった

当時の盲学校は全盲が多く、☆のように少しでも見えれば全盲生の補佐に回る、それが悪いとは思わないけれど、☆には自由にのびのびと生きてほしいと願い普通学校に入れたいと思った、そうだ。

 

父と母の思いはどうあれ☆は学区の小学校に入ることになった

 

両親は教師である

盲学校が悪いとは全く思っていない

 

 

父は「我が家から盲学校へかよう子供を他の人に見せたくない」

娘が盲学校へ通っているとは言いたくない

純粋にそれだけだ

我が家は内も外も立派でなくてはならないのだ

 

昔はそういう考えの人がたくさんいた

立派な人間でありたい父に取って☆は悩みしかもたらさない存在であった

 

父 ☆の視点で父の話をしよう 4&5

☆の視点で父の話を少ししよう 4

 

結核治癒後の父は時間があれば寝ていた

☆はそれが普通だと認識していた

でも 思い出すと母の居眠りなど見たことがない

 

 

 

の視点で父の話を少ししよう 5

 

父には固定観念があった

盲目はバカである

 

☆は父の生徒の枠から外された

教える価値のないものとして

 

バカは人のために役に立つことで存在を許される

 

盲目は我が家に存在するだけで父に取って害である

 

父は優秀な教師である

 

☆というなまえ

☆はだめな人間である

☆はうさぎがすきである

 

父は☆の魂に刻んだ とおもわれる

 

☆は気がつけば「うさぎ」が好きだった

父の「ダメ」は絶対だ

父の「だめな人間」に絶対にあらがうことはない

 

 

うさぎはニンジンや緑の草がすきだ

ウサギは耳が長くてふわふわで赤い目をしている

ウサギはぴよんぴよん飛んで走る

 

いいことばかりだと思い込んでいた

 

父が ☆はうさぎ年だからニンジンが好きだ と言えば

☆は うさぎ年だからニンジン好きなの とはしゃいで食べた 暇な幼稚園生活の頃の話である

 

草の中に隠れるのも好きだった

 

父 ☆の視点で父の話をしよう 4

紳士服は作るのが面倒

 

父は身長174センチ、大正生まれでは珍しいくらいに背が高い

背が高い、と言うことは既製品のズボン(当時はスラックスとは言わない)がない、Yシャツの手も短い で オーダーになるが普段着オーダーでは金銭的にやってられない

家庭科の教師の母が紳士服を手作りする羽目になる

 

母はいう まえたてなんて面倒なことしてられない 男物のズボンの前開きなんて細かい生地を何枚も使ってメンドウったらありゃしない

☆には全くわからないが熱心に聞く

 

母はニヤッと笑って だから女物の作り方で男物に見えるように工夫するのサ

自慢である、が こういう工夫話は逃さず聞くに限る 絶対役に立つ

父は母の手作りは柔らかくとても着やすいという

二人とも満足、平和である

 

☆は成人してから母にミシンをプレゼントした

母のとびっきりの笑顔を見た