じゅんこさんは順番通りの席にいた
目が悪いわけじゃないし 足指が足りないわけでもないから当然だ
ちっちゃな身体で全校朝礼は一番前確定
とっても優しくて☆はすぐ友達になった
じゅん子さんとはしょっちゅう二人で話をした
友達から特別の仲良しになった
じゅん子さんは心臓弁膜症といって身体が大きくなると死んでしまうと言う
いつも死と向かい合わせで生きていると言う
☆は「死」がわからない
じゅん子さんは「死」と向き合っている
本当は学校にも来れないらしい
けど
じゅん子さんは学校に通って友達を作っておしゃべりをしたかった
だから両親におねだりをしたのだそうだ
ある日 ☆は校庭を突っ走っていた
☆は元気だ 走ることが大素手だ
そして石が見えないのだ
膝は擦り傷と打撲でいつもかさぶたがあるくらい走るのが好きだ
学校の校庭は足が引っかかるほどの石がほとんどない
だから おもいっきり走っても転ばない
☆は校庭が大好きで 用もないのに走り回った
滅多にない石につまずいてすっ飛ぶほどひっくり返った
運悪くじゅん子さんが二階から見ていた
じゅん子さんは自ら走って一番に駆けつけてくれた
「☆さん大丈夫?」
ちっちゃな身体で手をさしのべてくれる
おもわず じゅん子ちゃん、走っちゃだめ」
じゅん子さんの手は うれしそうで悲しそうで とてもあたたかい
私はほっておかれ先生はじゅん子さんを保健室へ抱いていった。
その後いつまでたってもじゅん子さんは学校には来なかった
じゅん子さんに会えたのは季節が変わってから
「わたし 生きたい」
じゅん子さんは生きるために名古屋と言うとっても遠い病院に行くことを決めたと言う
そこは病院学校があって 入院しながら勉強ができるそうだ
「病気も治して 学校にも行って また☆さんと逢いたい」
それがじゅん子さんとのお別れの言葉だった
2年生の終わりに転校していった
森田先生は じゅん子さんが生きることを望んで手術を受けるために両親と別れて遠い病院へ行きます。また会える日を楽しみにしましょう
と送り出した
4年生で亡くなったと聞く
クラスの障害児は☆一人になった
森田先生はじゅん子さんの家にも頻繁に訪問し励ましたという
自宅療養が望ましいが、いずれ、たぶん10才を超えられない命
ならば 生きる喜びを知ってほしい
一日でも長く生きてほしいが檻の中で死ぬために生きるのではなく
希望を胸に「生」を望んでほしい
死を覚悟した7・8才なんて胸が痛む
少しでも同じ年代の輪のなかで輝いてほしい
森田先生はそう思ったそうだ
当時 先天性の心臓弁膜症は10才を超えられない
10才ころに人の身体は大きく成長するらしい
それに心臓が耐えられないと言う
諦めることをやめたじゅん子さんは☆の星だ
その年度で森田先生は教師を辞めた。緑内障が進んで限界だと・・