☆の視点で父の話をしよう  6

岩手盲学校は家から徒歩15分から20分の徒歩通学の距離にある。

 

父は☆を盲学校に入れるのに猛反対した。

理由は 簡単明瞭 かっこわるい だ

 

 

母は悩んで数回盲学校見学にいった

当時の盲学校は全盲が多く、☆のように少しでも見えれば全盲生の補佐に回る、それが悪いとは思わないけれど、☆には自由にのびのびと生きてほしいと願い普通学校に入れたいと思った、そうだ。

 

父と母の思いはどうあれ☆は学区の小学校に入ることになった

 

両親は教師である

盲学校が悪いとは全く思っていない

 

 

父は「我が家から盲学校へかよう子供を他の人に見せたくない」

娘が盲学校へ通っているとは言いたくない

純粋にそれだけだ

我が家は内も外も立派でなくてはならないのだ

 

昔はそういう考えの人がたくさんいた

立派な人間でありたい父に取って☆は悩みしかもたらさない存在であった

 

父 ☆の視点で父の話をしよう 4

紳士服は作るのが面倒

 

父は身長174センチ、大正生まれでは珍しいくらいに背が高い

背が高い、と言うことは既製品のズボン(当時はスラックスとは言わない)がない、Yシャツの手も短い で オーダーになるが普段着オーダーでは金銭的にやってられない

家庭科の教師の母が紳士服を手作りする羽目になる

 

母はいう まえたてなんて面倒なことしてられない 男物のズボンの前開きなんて細かい生地を何枚も使ってメンドウったらありゃしない

☆には全くわからないが熱心に聞く

 

母はニヤッと笑って だから女物の作り方で男物に見えるように工夫するのサ

自慢である、が こういう工夫話は逃さず聞くに限る 絶対役に立つ

父は母の手作りは柔らかくとても着やすいという

二人とも満足、平和である

 

☆は成人してから母にミシンをプレゼントした

母のとびっきりの笑顔を見た

 

星の下に生まれる、って

 

まちがった星の下に生まれたにちがいない

 

星の下に生まれるってなんなの?

人は皆輝いている、とか

恒星と惑星

一等星と六等星とそれ以下と

流れ星もある

 

☆は流れ星に生まれてあっという間に消えれば良かったんじゃない?

そうすればみんなうまくいったかも知れない

私のすぐ後に生まれるはずだった「人」も流されずに住んだろうに

 

私☆と弟の間に流された命があった

なんでそんなことになったかというと

「☆に手がかかったからムリだった」

そうだ

下ろせるぎりぎりまで考えて流したそうだ

 

知ったのは二十代だけどねぇ

母は話題にのって話していた

☆も普通に聞いていた

 

でもねぇ

いいのか?

☆がいるのに

成人とはいえ少々は気になる

大いに気になる

生まれを恨む

流れた命に謝罪する

よね

 

両親の思いはもしかして

あっちだったら良かった

だったら

☆は何を思えばいいのだろうか

何を背負って生きればいいのか

 

後悔って

☆がするものじゃないだろう

両親だってしても始まらないし

 

☆はくず星だよなぁ

流れ星になれば良かった

一瞬光って人の願いをいっぱい聞いて